【新用語チェック】ハイエンド映像の新基準「HDR」とは?
これまで高価だった4K(3840×2160ドット)テレビやモニターもだいぶ手ごろな価格となってきました。TV視聴においてメインとなる地上波放送などはまだ4Kに対応していませんが、Blu-rayコンテンツには4K映像の「Ultra HD Blu-ray(UHD BD)」の映画タイトルが登場しています。また、ネット動画配信サービス「Netflix」や「Amazon プライムビデオ」、「ひかりTV 4K」などで4Kコンテンツを配信しています。
PCでの4Kモニターは動画の視聴や写真観賞などの用途のほかに、FHD(1920×1080ドット)の面積が4倍になることで、ワークスペースが広くなるといメリットがあります。
そんな4Kですが、単なる4Kでない「4K HDR」という言葉を耳にするようになりました。HDRとは「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称で、従来のTVやモニターで再現できなかった幅広い階調を表現できるというものです。
1つ気をつけたいのは動画と静止画では、同じHDRという言葉でも意味が違う点です。HDRという言葉はスマートフォンのカメラ機能や写真の表現方法でも耳にすることがあるかと思いいます。
静止画のHDRは、白飛びや黒つぶれしてしまうようなカメラが苦手とする高輝度なシーンを、露出(明るさ)を変えて複数枚撮影したのち、それらを合成して暗い部分から明るい部分までの階調を擬似的に再現するというものです。
一方、動画のHDRは従来の輝度の幅が狭いTVおよびモニターにおいて、これまでは映像コンテンツ側で明るさの幅を狭めて収録もしくは変換していました。一般的なビデオカメラの収録データは8bitですがその中から16-235に輝度幅を狭めて記録しています。HDRは再生する機器の輝度を上げることでこれまで以上に明るいシーンはより明るく、暗い部分もつぶれずに再現するというものです。
映像コンテンツ側は、輝度を10bit(1024段階)とすることで、高輝度部分の階調データもしっかりと記録。HDR非対応機器での再生の場合は、従来通りの8bitの輝度として再生します。
映像の進化は、DVDの解像度でもあるSDからFHDへ高精細化しましたが、大画面での視聴では絵が甘く感じました。FHDの4倍の面積でもある4Kにすることで大画面視聴に耐えうる映像となったわけです。
こうして4Kの高精細でリアリティを感じることができましたが、HDRはそれに加えて暗いシーンではより暗く、明るいシーンでは眩しいと感じる本当のリアリティを再現するというものです。
なお、HDR対応のTVやモニターは、価格によって高輝度や暗部の再現力が異なります。ハイエンドモデルほど、輝度の再現力が高いのが現状です。
HDR対応モニターが求められるシーンは、まずは映像などの制作環境がありました。しかし、徐々に視聴環境にも普及が始めりつつあります。
ゲームコンソールもHDR対応し、コンテンツも登場しています(下の写真は4K HDRに対応したゲームコンソール「Xbox One S」のデモ)。今後はゲーミングにおいてもHDRがカギとなってきそうです。